神衛の理念1 競和という考え方

合気道は型稽古を行いますので試合がありません。試合がないと、勝ち負けを競う事がないので、それが合気道の良いところだと述べている書籍もあります。

しかし現実には、運動神経の発達具合、パワー、体格、上達の速度、実力差などで、型稽古と言えど、何らかの優劣は生じます。その優劣は、結局のところ、解釈する人次第で、勝ち負けと同義となり得ます。

特に、技法を覚える事が苦手な人は、自分一人で劣等感を強く持ちます。生じる優劣において、優れた側ならば「勝ち負けを競わない」という気持ちでいられても、劣る側は「自分は負けている」という気持ちになってしまう事は十分考えられます。

結局、合気道は競うという概念からは逃れられません。そして、逃げてはいけないのです。

また、武道としての合気道を志すのであれば、強くなる、つまり争いに負けない自分にしたい、という気持ちは必要です。

私達は、争いを目的とするのではなく、能力として争いに対応する為、競う力を高めていく事に重きを置きます。純粋に競う力を高める為、神衛では競う力の事を「競力」という用語としています。

合気道の稽古で競力を高める場合、競和という概念を意識しながら取り組む事が必要です。

競力は様々な要素から構成されますが、ここでは例えば「力」を例にします。

稽古において、相手が力を自分に加えてきた場合、その力に対応出来るようにします。イメージで言えば、相手が自分の手首を持って押してきた場合を想像して下さい。相手が強く押したら、自分はそれに耐えられるだけの力を出さないといけません。その力を次第に強めていくようにしていく事で、相手側の対応能力も向上します。

これは争いではなく、お互いの能力向上の為に行うので、相手を潰さず、また自分も潰されないようにしていきます。そのバランスを保ちながら、お互いに力を最大限にまで出していきます。

このように例えば二者間であれば、それぞれの力を最大限に強めても、二者間のバランスが取れるようにしていくのが競和という概念です。

お互いの力の強さに差があれば、ハンディキャップをつくりバランスを調整します。

ハンディキャップを作る事は、お互いの力の差が何を原因としているかを考察する事になります。ハンディキャップを作らなくても、力の差をスピードやタイミングをずらす事で埋める、という方法を考える機会にもなります。

自分の弱点も分かりますが、逆に得意とするところも確認出来ます。

自分の現実から目をそらさず、自分の弱点を見つけ、それに取り組む事を当然とする習慣になります。

技が、効いてないから倒れない、または、効いてないけど倒れる、という型稽古でありがちな状況が起きなくなります。(それは、倒れない、倒れる、を結論としてしまっています。神衛は、そこからどうすれば倒れるようにしていけるか、という事が大切だと考えています。)

このように神衛では、競和という考え方で競力を高めていく合気道の取り組みをしています。

2019年3月30日